10.近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律
はじめに
高度成長期、大都市圏の都心部への過度の人口・産業の集中を抑制し、大都市圏域内の無秩序な市街化の抑制や産業基盤の整備を推進するため、首都圏整備法・近畿圏整備法・中部圏開発整備法が制定されました。これらの法律に基づき定められた整備計画や区域に基づき、具体的な政策を行う法律として、「近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律」などが定められています。これらの法律群により、通常の都市計画のみでは困難な、都府県境を越えた広域的な計画が可能となっています。
不動産取引実務においては、これらの法律に規定されている「既成市街地」(首都圏整備法)や「既成都市区域」(近畿圏整備法)といった区域が、市街化区域における開発許可が不要となる面積や、市街化区域と市街化調整区域の線引きが必ず必要となる区域などと密接に連動しています。
概要
工業団地造成事業は、近畿圏においては、近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律により、近郊整備区域又は都市開発区域で行うことができるとされており、工業団地内の土地については、一定期間の譲渡制限が課されています。
なお、この法律の近畿圏とは、福井県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県のことを指しています。
重説記載事項
工業団地造成事業の施行にかかる製造工場等の敷地の造成に関する工事が完了した旨の公告の日の翌日から起算して10年間は、造成工場敷地の所有権、地上権、質権、使用貸借による権利又は賃借権その他の使用収益を目的とする権利の設定又は移転については、当事者は、地方公共団体等の長(都市再生機構又は地域振興整備公団が施行者であるときは国土交通大臣)の承認が必要です。(法第34条第1項)
確認方法、指定状況等
確認方法
工業団地造成事業は、都市計画事業であるため都市計画図において確認可能です。
指定状況等
現在、下記の区域において工業団地造成事業を確認することができます。
福井県:福井市・坂井市、敦賀市
滋賀県:米原市
京都府:綾部市、福知山市
兵庫県:神戸市、三田市
このうち、工事完了公告から10年が経過していない(工区を含む)と考えられるのは、福井臨海工業用地等造成事業(福井県福井市・坂井市)、敦賀西部工業団地造成事業(福井県敦賀市)、米原南工業団地造成事業(滋賀県米原市)、西神第 3 地区工業団地造成事業(兵庫県神戸市西区)と推定されます。
関連項目
首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律