特例容積率適用地区

概要

特例容積率適用地区は、都市計画で定める地域地区の一つで、未利用となっている建築物の容積の活用を促進して土地の高度利用を図るため定める地区とされています。容積率の移転が可能となる制度として、一団地の総合的設計制度や連坦建物設計制度がありますが、これらの制度と異なり、地区内であれば互いに隣接していない土地の場合であっても、容積率の移転が可能となる制度であり、充分な都市基盤が整備されている区域においてのみ適用が可能とされています。(都市計画法第 8 条第 1 項第 2 号の 3)

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指定できる区域

1.第一種、第二種低層住居専用地域および工業専用地域以外の用途地域内
2.適正な配置及び規模の公共施設を備えた土地の区域
3.建築物の容積率の限度からみて未利用となっている建築物の容積の活用を促進して土地の高度利用を図る場合に適用できます。

指定状況

東京都千代田区および東京都中央区に跨る大手町・丸の内・有楽町地区のみが現在指定されています。

公示方法

関係権利者の合意に基づき移転された容積率については、容積率の移転元を承役地・移転先を要役地とする地役権が設定されています。

制度の今後について

国土交通省は、平成 23年4月8日付けの「規制・制度改革に係る方針」において「特例容積率適用地区の拡大」が閣議決定され、この制度の積極的な適用を推奨していますが、新たに指定された区域は見当たりません。

同省のウェブサイトにおいて、特例容積率適用地区制度は、「密集市街地での老朽建築物の共同化、老朽マンションの建替え等に寄与」すると書かれています。しかし、老朽マンションの建替えが困難となるのは、既存建物が容積率を消化しており、建築費捻出のための新たに売却する住戸を設けることが困難であることが一番の原因です。仮に容積率の移転を受ける場合であっても、現実の建替えには余剰容積率を購入する必要があり、この制度が老朽化マンションの建替えに適しているとは考えにくいと思われます。