伝統的建造物群保存地区
概要
「伝統的建造物群保存地区」とは、伝統的建造物群及びこれと一体をなしてその価値を形成している環境を保存するため、市町村が定める地区であり、歴史的町並みを保全するものです。
指定できる区域
市町村は、都市計画区域または準都市計画区域においては都市計画で、これら以外の区域においては条例で伝統的建造物群保存地区を定めることができるとされています。
したがって、都市計画で定める地域地区としての伝統的建造物群保存地区と条例によるものとが存在しています。
重説記載事項
伝統的建造物群保存地区内における現状変更の制限
伝統的建造物群保存地区内において、下記に掲げる現状変更となる行為を場合は、都市計画区域内にあっては市町村長および教育委員会、それ以外の区域にあっては教育委員会の許可が必要です。
1 建築物その他の工作物の新築、増築、改築、移転又は除却
2 建築物等の修繕、模様替え又は色彩の変更でその外観を変更することとなるもの
3 宅地の造成その他の土地の形質の変更
4 木竹の伐採
5 土石の類の採取
6 上記に掲げるもののほか、保存地区の現状を変更する行為で条例で定めるもの
上記の行為の内容に応じて、①その伝統的建造物群保存地区の特性を維持していること、②歴史的風致を著しく損なうものでないこと、③その伝統的建造物群の保存又は当該保存地区の環境の維持に著しい支障を及ぼすおそれがないものと認められるものでない場合、許可を受けることができません。
条例の確認
都市計画区域内および準都市計画区域内においては、建築基準法第三章(集団規定)が適用されており、通常、接道義務や建ぺい率、斜線制限等が適用されています。しかし、伝統的建造物群保存地区においては、道路が狭あいな場合等、通常の建築制限を満たすことができないケースが多数生じます。そこで、建築基準法第85条の3においては、条例を定めることにより制限を緩和することができるとされています。都市計画区域内の保存地区の調査に当たっては、緩和の内容、適用建物に該当するか否か、許可等の可能性等を慎重に確認することが必要です。