特別用途地区とは
都市計画には「用途地域」をはじめとして、実に多くの「地域地区」があります。今回は、「特別用途地区」(都市計画法 第9条第13項)について見ていきましょう。
特別用途地区とは…
特別用途地域は、都市計画法において以下のように定義されています。
都市計画法 第9条第13項
特別用途地区は、用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める地区とする。
それぞれの用途地区で何が建築できるか、または何が建築できないかは、建築基準法の別表2に規定されています。しかし、考えてみれば建物の用途は実に多種多様であり、しかも多くの地域においてその用途は混在しています。
したがって、これらを法律によって、全国一律に用途規制するには不都合が生じる場合があります。
そこで、特別用途地区を定めることにより、用途地域内における建築基準法で定められた用途制限について、地方公共団体の条例で強化または緩和を行うことができます。
「当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進(緩和型)」として、地域に昔から根付いている産業を保護育成しなければならない場合などがあり、一方「環境の保護等(強化型)」として、住工混在地域における、公害防止のための工業用途の制限強化などがあげられます。
指定できる区域
特別用途地域は、用途地域における用途規制に変更を加える性質のものです。したがって、用途地域内において重ねて指定されます。もちろん、このような必要がある場合のみに定められています。
制限(または緩和)について
建築基準法49条に基づき地方公共団体の条例により定められます。なお、緩和に当たっては国土交通大臣の承認が必要です。
改正の経緯
特別用途地区は、昭和25年当初は2種類であったものが用途地域の細分化と同様に徐々に増え続け、平成4年の改正においては11種類となりましたが、現在は、任意に定めることができるようになりました。改正後は大規模小売店舗の出店を制限するものが多くみられます。