全国新幹線鉄道整備法とは

全国新幹線鉄道整備法とは

不動産の取引に必要な重要事項説明書の「その他の法令」欄には、高度経済成長期に施行されたものが多数あり、全国新幹線鉄道整備法もその一つであるといえるでしょう。他の鉄道関連の法律と異なり、この法律に基づく新幹線については、路線計画を国土交通大臣が定めることとなっており、その建設予定地について行為制限が可能となっています。

不動産の取引における重要事項説明においては、取引の対象となる物件について行為制限区域の指定がある場合、その制限内容について説明する必要があります。

一般的な略称:全幹法 昭和45年5月18日法律第71号 昭和45年6月18日施行

「いわゆる『整備新幹線』」とは

行為制限区域は、全国新幹線鉄道整備法に基づく整備計画が決定され、工事実施計画の認可にかかる土地について指定が可能であるため、同法に基づく整備計画によって定められた新幹線鉄道の建設予定地を知る必要があります。

用語の混乱を避けるため「いわゆる『整備新幹線』」という用語について念のため整理しましょう。「整備新幹線」という用語そのものに法律上の定義はなく、むしろこれは同法7条に基づく「整備計画」が定められた新幹線鉄道の略称であると思われます。そしてこの整備新幹線のうち、昭和48年11月23日に整備計画が決定された下記の5路線を「いわゆる『整備新幹線』」と呼んでいます。

「いわゆる『整備新幹線』」5路線
北海道新幹線   青森 ~ 札幌間
東北新幹線    盛岡 ~ 青森間 (全線開業)
北陸新幹線    東京 ~ 大阪間
九州新幹線(鹿児島ルート)福岡 ~ 鹿児島間 (全線開業)
九州新幹線 (長崎ルート)福岡 ~ 長崎間

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北陸新幹線(石川県河北郡津幡町)

中央新幹線は?

中央新幹線は、整備新幹線ではないのでしょうか? もちろん、リニアは鉄道なのかという問題ではありません。

「いわゆる『整備新幹線』」は、上述のとおり昭和48年に整備計画が決定されたものを指しているため、中央新幹線は「いわゆる『整備新幹線』」ではありません。しかし、中央新幹線も全国新幹線鉄道整備法に基づき整備計画が定められた新幹線鉄道に変わりはなく、その建設予定地は同法に基づく行為制限区域の指定が可能です。

したがって、「いわゆる『リニア中央新幹線』」も、整備新幹線なのです。

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山梨リニア実験線

 

重説記載事項

全国新幹線鉄道整備法より指定された行為制限区域内では、土地の形質の変更・工作物の新設、改築、増築をすることはできません。

指定状況

現在、行為制限指定区域はありません。また、過去に指定された区域も確認できません。

行為制限区域の将来的な指定の可能性について

上述のとおり、全国新幹線鉄道整備法による行為制限区域の指定は現在のところありません。

もちろん、将来的に行為制限区域に指定される可能性を完全に否定できるものではありません。したがって、同法の規定に基づき整備計画が定められ、工事実施計画について国土交通大臣の認可を受けている路線のうち未整備の区間を検討してみましょう。

いわゆる「整備新幹線」の場合

・北海道新幹線のうち 新函館北斗~札幌間(平成24年6月29日認可 平成42年度末開業予定)
経由が予定される市町村は、
北斗市・厚沢部町・八雲町・長万部町・黒松内町・蘭越町・豊浦町・ニセコ町・倶知安町・仁木町・赤井川村・余市町・小樽市・札幌市

・北陸新幹線のうち 金沢~敦賀間(平成24年6月29日認可)
経由が予定される市町村は、
石川県のうち、金沢市・野々市市・白山市・川北町・能美市・小松市・加賀市
福井県のうち、あわら市・坂井市・福井市・鯖江市・越前市・南越前町・敦賀市

・九州新幹線(長崎ルート)のうち 武雄温泉~長崎間(平成24年6月29日認可)
経由が予定される市町村は、
佐賀県のうち、武雄市・嬉野市
長崎県のうち、東彼杵町・大村市・諫早市・長崎市

中央新幹線の場合

中央新幹線については、平成26年10月17日に品川~名古屋間で工事実施計画の一部の認可が行われています。
経由が予定される市町村は、
東京都のうち、港区・品川区・大田区・世田谷区・大田区・町田市
神奈川県のうち、川崎市・相模原市
山梨県のうち、上野原市・大月市・都留市・大月市・笛吹市・甲府市・中央市・南アルプス市・富士川町・早川町
静岡県のうち、静岡市
長野県のうち、大鹿村・豊丘村・飯田市・阿智村・南木曽町
岐阜県のうち、中津川市・恵那市・瑞浪市・御嵩町・可児市・多治見市
愛知県のうち、春日井市・名古屋市