高層住居誘導地区

概要

都市計画で定める地域地区の一つであり、大幅な容積率の緩和等を受けることができる。都心部における職住接近を実現し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導することが目的とされる。大幅な容積率緩和があり近隣への影響が大きいことから、ウォータフロントや街路整備がすでに行われている地域などに指定が限られる。

背景

制度が創設されたのは平成9年であり、バブル経済崩壊後の大幅な容積緩和による都心居住回帰策の一つである。制度創設時の通達(平成9年9月1日付建設事務次官通達「都市計画法及び建築基準法の一部の改正について」建設省都計発第83号)によると、大都市のみならず、地方都市の中心市街地の空洞化対策を想定しているが、活用されるにいたっておらず、そもそも、地方都市に指定の要件を満たす地域はあまり存在しないと思われます。

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芝浦アイランド遠景

指定できる区域

第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域で指定容積率が400%または500%と定められた区域内。

高層住居誘導地区に関する都市計画で定める事項

・容積率の最高限度
・必要に応じて、建ぺい率の最高限度・敷地面積の最低限度

緩和の対象となる建物

住宅部分の床面積の合計が、2/3以上となるもの。

緩和内容

・容積率
3×指定容積率÷(3-住宅の床面積割合)
ただし、指定容積率の1.5倍以下

したがって、すべてが住宅の場合、下記が上限となります。
指定容積率が400%の区域の場合、最大で600%
指定容積率が500%の区域の場合、最大で750%

・前面道路による容積率:前面道路幅員 × 0.6
・斜線制限:立ち上がり31m+∠2.5 (商業地域と同じ)
・日影規制:適用外

指定実績

東京都江東区東雲一丁目地内および東京都港区芝浦四丁目地内の2か所のみ。

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東雲キャナルコートCODAN