特定街区

概要

特定街区は、都市計画で定める地域地区の一つ。既定の都市計画等(用途地域に対応して指定された容積率および建ぺい率、敷地面積の最低限度、用途地域と連動する斜線制限および日影規制)については適用されず、特定街区に関する都市計画において定められた容積率の限度、高さの限度、壁面の位置が適用されます。
街区単位で指定され、複数の街区を一つの特定街区とすることも可能です。隣接する複数の街区を一体として計画する場合は、容積率を街区間で移転することができます。特定街区に関する都市計画の案については、政令で定める利害関係を有する者の同意が必要です。

背景

特定街区の制度が導入されたのは昭和36年です。その当時、建築物の高さの制限は、許可を受けた場合を除き、住居地域においては20m以下、住居地域以外においては31m以下とされていました。また、容積率制限という制度自体がこの当時はまだ導入されておらず、階高を可能な限り低くし、地下を深く掘ったビルが多く存在していました。現在のザ・ペニンシュラ東京の場所にかつて存在した日比谷パークビルヂングは、高さは31mですが、地上9階・地下4階で容積率は1100%を超えていました。

高さ制限撤廃について民間の強い要望、建築物の超高層化について技術的な目途が立っていることを受け、容積地区導入に先駆けて、超高層建築物の建築が可能となる特定街区制度が創設されました。特定街区第1号は、霞が関ビルです。

都市計画で定める事項

特定街区に関する都市計画においては、次の3つについて必ず定めることとされています。

・容積率
・建築物の高さの最高限度
・壁面の位置の制限

都市計画において、壁面の位置の制限を必ず設けるということは、必然的に街区内の建物の位置や空地の割合が決まるといえる。容積率の割増しは、各自治体の運用基準に基づき、空地の割合等を勘案してその割増しの程度が定められることになっています。

なお、名称についても都市計画で定めるよう努めるものとされています。

指定できる区域

都市計画区域内とされており、準都市計画区域においては指定できません。

指定が確認できる市区町村

北海道:札幌市
埼玉県:さいたま市
千葉県:千葉県、習志野市、松戸市、千葉市、船橋市、
東京都:葛飾区、江戸川区、港区、渋谷区、新宿区、新宿区・渋谷区、世田谷区、千代田区、千代田区・港区、千代田区・中央区、台東区、中央区、品川区、豊島区、墨田区、八王子市、武蔵野市
神奈川県:横浜市、川崎市
静岡県:静岡市
愛知県:名古屋市
京都市:京都市
大阪府:大阪市
兵庫県:神戸市
広島県:広島市