開発許可制度とは (1)
開発許可制度
開発許可制度は、現行の都市計画法(昭和43年法律第100号)により、線引制度と併せて、無秩序な市街地の拡散(スプロール現象)の抑制を目的として導入されました。
スプロール現象とは、都心から郊外へ向けて、無秩序に都市が拡散していくことを言います。虫食い状に都市が拡散してしまった場合、計画的に実施することが必要な道路や下水道などのインフラ整備の遅れや事業費の高騰を招きます。そして一度スプロールが進行してしまうと、宅地化に伴う地権者数の増大、当時の継続的な地価の上昇等により、改善することが事実上困難となってしまいます。
開発行為
都市計画法において「開発行為」とは「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をいう。」と定義されています。ここでは、これらの言葉の意味するところを見ていきましょう。
特定工作物とは
特定工作物は、第一種特定工作物と第二種特定工作物に分けられます。
第一種特定工作物とは、環境の悪化の恐れのあるコンクリートプラント、アスファルトプラント等の施設のことを言います。第二種特定工作物とは、1ヘクタールを超える野球場やテニスコート等の運動施設、墓園を指します。ただし、ゴルフ場については規模にかかわらず第二種特定工作物となります。
区画形質の変更とは
「区画形質の変更」の部分については、法律上明確に定義されておらず、処分を行う行政庁の解釈となります。一般的に「区画形質の変更」は、①「区画の変更」、②「形状の変更」、③「質的な変更」の3つに区分し、解釈されています。このうち①と③の解釈については、おおむね自治体による相違はありませんが、②の形状の変更については、行政庁により異なるため注意が必要です。
①「区画の変更」
公共施設(道路や水路等)の新設又は改廃を伴う土地の分割又は統合のことで、道路や水路等の新設、つけ替え、廃止等を行うことを意味しています。より具体的に表現すると、里道や水路の付け替え、開発道路の新設を行うことを言います。したがって、不動産登記において単に分筆を行う場合は該当しません。
②「形状の変更」
形状の変更については、各処分庁により数値等が異なります。
横浜市の場合(概要)は、2mを超える切土、1mを超える盛土、2mを超える切盛土、切盛土の面積が500㎡を超える場合、形状の変更となります。
名古屋市の場合(概要)は、造成土量の平均が1㎡当たり1㎥以上となる場合や、1m以上の切土又は盛土を行う土地の面積が500㎡以上となる場合、形状の変更となります。
③「質的な変更」
宅地以外の土地を変更し宅地等とすること。畑や山林、雑種地等を宅地として利用すること。
※この記事は、作成時の法令に基づき、法令理解の一助として作成しています。また、内容は慎重を期して記載しておりますが、個別の案件により取り扱いがことなる場合があります。お気づきの点がありましたら、info@aoi-asset.co.jpまでご連絡をいただけると幸いです。