9.首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律

 はじめに

高度成長期、大都市圏の都心部への過度の人口・産業の集中を抑制し、大都市圏域内の無秩序な市街化の抑制や産業基盤の整備を推進するため、首都圏整備法・近畿圏整備法・中部圏開発整備法が制定されました。これらの法律に基づき定められた整備計画や区域に基づき、具体的な政策を行う法律として、「首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域 の整備に関する法律」などが定められています。これらの法律により、通常の都市計画のみでは困難な都府県境を越えた広域的な計画が可能となっています。

不動産取引実務においては、これらの法律に規定されている「既成市街地」(首都圏整備法)や「既成都市区域」(近畿圏整備法)といった区域が、市街化区域における開発許可が不要となる面積や、市街化区域と市街化調整区域の線引きが必ず必要となる区域などと密接に連動しています。

概要

市街地開発事業のうち工業団地造成事業は、首都圏においては、首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律により、近郊整備地帯又は都市開発区域で行うことができるとされており、この法律により造成された工業団地内の土地については、一定期間の譲渡制限が課されています。

なお、この法律の首都圏とは、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県のことを指しています。

重説記載事項

工業団地造成事業の施行にかかる製造工場等の敷地の造成に関する工事が完了した旨の公告の日の翌日から起算して10年間は、造成工場敷地の所有権、地上権、質権、使用貸借による権利又は賃借権その他の使用収益を目的とする権利の設定又は移転については、当事者は、地方公共団体等の長((都市再生機構又は地域振興整備公団が施行者であるときは国土交通大臣))の承認が必要です。(法第7条第1項)

確認方法、指定状況等

確認方法

工業団地造成事業は、都市計画事業であるため都市計画図において確認可能です。

指定状況

現在、下記の区域において工業団地造成事業を確認することができます。
茨城県:龍ケ崎市、常総市、坂東市、ひたちなか市、土浦市、阿見町、石岡市、鹿嶋市・神栖市、つくば市、古河市
栃木県:宇都宮市、鹿沼市、真岡市、真岡市、足利市、足利市、佐野市、小山市
群馬県:高崎市、伊勢崎市、太田市、大泉町、太田市・大泉町、館林市、邑楽町、館林市・邑楽町・千代田町
埼玉県:久喜市、川口市、久喜市・菖蒲町
千葉県:柏市、成田市
神奈川県:藤沢市、伊勢原市、南足柄市
山梨県:甲府市、昭和町、中央市

このうち、工事完了公告から10年が経過していない(工区を含む)と考えられるのは、
・半谷・冨田工業団地造成事業(茨城県坂東市)
・伊勢崎宮郷工業団地造成事業(群馬県伊勢崎市)
・鞍掛第三工業団地造成事業(群馬県邑楽郡邑楽町)
が推定されます。

関連項目

近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律