建築基準法上の道路 全体像1

「道路」と「道」

ややトリッキーな気もしますが、建築基準法は条文上明らかに「道路」と「道」を区別しています。

建築基準法において「道」には明確な定義はありませんが、私道も含めて一般の交通の用に供されている土地全般を意味しているものと考えられます。この「道」のうち、法律上明確に定義されているものが建築基準法上の「道路」となります。

これは道路法や道路交通法においても同様で、それぞれの法律で「道路」が定義されており、おのおの「道路」が意味するところは異なっています。

建築基準法においては、都市計画区域内・準都市計画区域内において建築する場合は接道義務が課せられており、建築物の敷地は建築基準法上の道路に2m以上接していなければなりません。したがって、接道義務に関する条文のときは「道路」と表現されており、全国において適用される規定の場合は「道」と表現されています。

 

「公道」と「私道」

接道義務のお話しの前に、「公道」と「私道」について考えましょう。重要事項説明書の「敷地と道路との関係」欄には、必ず「公道」と「私道」の別を記載する欄がありますが、建築基準法においては、明確にそれらを定義している条文はなく、記載の要領として混乱がある箇所ではないでしょうか。

もちろん、民間が完全に所有している位置指定道路や採納されなかった開発道路などは私道でしょうし、道路法に基づき認定(または政令で指定)され国または地方公共団体が管理しているものを公道と言うことは間違いないでしょう。

では、一見公道に思える河川管理通路・土地改良による農道、臨港地区内の臨港道路、あるいは特段の管理法を持たない里道などは公道でしょうか。やや違和感を覚えるかもしれませんが、建築行政ではこれらは私道と考えられています。

一般の交通の用に供されている道路のうち、道路法による道路以外を私道とする控除的な定義といえます。したがって、これらに面して建築確認を受ける場合、道路の位置指定を受けるか、あるいは43条1項但書の許可が必要となります。臨港地区には幅員50mの位置指定道路が存在しているケースも見受けられます。

 

接道義務とは

建築基準法第43条において、都市計画区域および準都市計画区域内では、建築基準法で定める道路に2m以上接していなければ、建物が建てられないとされています。また、この建築基準法上の道路は、原則4m(または6m)以上とされています。

では、2m以上接している状態について、慎重に確認していきましょう。路地状の部分のみを介して道路に接している場合は、路地状部分の幅員について2m未満となる部分があってはならないと解釈されています。

また、2m以上とは、接道箇所一か所で2m以上を満たさなければなりません。2か所以上で2m以上となっている場合は、建築基準法上の接道とはなりません。
これをイラストにすると下記のようになり、右側二つは接道義務を満たしていません。

2m

 

建築基準法上の道路の幅員

建築基準法上の道路は、通常幅員4m以上と定義されています。では建築基準法上の道路の幅員とは、どこからどこまでをいうのでしょうか?
建築基準法上の道路の幅員について現在の統一的な見解についての通達によると下記のイラストのようになります。
道路に設置された側溝については、蓋の有無にかかわらず道路幅員に含まれることとされています。

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(昭和58年8月2日 建設省計民発54号事務次官通達)